ゴールデンウィークの、帰省する新幹線で読むために購入。
ひと昔前ならロシア人か中国人か日本人あたりの役どころの異星人が、人類皆殺しを指向し、攻めてきます。相互理解不能という理由で(の割にはちゃんとコンタクト取れてたりします)。対する人類側は皇帝がいて腐敗していて、で、軍人さんがひたすらドンパチします。尊い犠牲やら愛やら勝利やら何やらあって、敵を退けます。おしまい。
一言でいえばスカ。二言でいえばスカでスカスカ。
中学の頃読んだSFの作家で、今も好きなのを三人挙げろといわれたら、私はクラーク、ウォルター・M・ミラー、そして、エリック・F・ラッセルを挙げたい。
読んだのは短編集「宇宙のウィリーズ」、逆説とユーモアと言葉遊びとセンスオブワンダー、そしてポストヒューマニズム的モラルとでも呼びたいものが詰まった本だった。
同様に創元から出た短編集「パニック・ボタン」「私は”無”」もオススメだ。
そんなラッセルの代表作である。銀背だろうと何だろうと、これは読まなくてはならない。そして帰省先、福岡の某超巨大古書店でGET。
時を同じくして、人類最高の頭脳たちが、謎の死を遂げはじめる。麻薬を飲み、ヨードチンキを身体に塗りたくり、意味不明のたわごとを残して。
彼等は人類という愚鈍な羊を追いたてる棒の向こうに、見てはならないもの、羊達の飼い主を見た為に殺されたのだ。主人公は背筋に冷たいものが走るのを覚える。そう、それは人類の飼い主、ヴァイトンの見えざる触手の感触なのだ。
人類家畜テーマの先駆にして代表作です。お話としては不満な点がありますが、ニューウェーブもサイバーパンクも無い昔のことですし。アイディアは秀逸。
さて、トマス・M・ディッシュ「人類皆殺し」も探さなくては。
生態系の破壊されつくした遥かなる未来、地下で機械に養われる三兆の人類と、その食料をかすめて生きる水棲者たちがいた。動けなくなったサイボーグ漁船”ロークァル”のサーボ”三葉虫”が見たのは、そういう世界だったのだ。だがやがて、地下都市の酷薄な生活から逃れた下半身の無い過去人、安全装置付きのクローン戦士、そして突如復活した海洋生態系らが地球を変えてゆく……
これも古本屋GET。途中から闘い系のエンタティメントになるのが欠点ですが、アィディア満載の読める作品でした。そして、あの謎の変な式”オルガの公式 gy=c”の元でもあります。オルガの公式ってのは、惑星の重力加速度と地球が生まれてから経過した秒数秒あたりの惑星年つまり公転周期(えー、メール頂きまして、気が付きました。大馬鹿です。ご指摘あるがとうございました。)を掛けると、ほぼ光速に等しく、んで、光速に近ければ近いほど、生命が生存し易い環境であるというもの。そりゃもうデタラメなんですが、地球に関しては、出る答えが妙に近似してることで話題になったものです。
オススメします。
文明崩壊後の未来世界、ってこう書くだけで読む気も失せるような作品ですが、古本屋にて”ヒューゴ、ネビュラ両賞受賞”という表紙の文字に引かれ購入。
……「スロー・リバー」もそうだったのですが、ヒューゴ賞も、ネビュラ賞も、ナイス作品の指標にはならないのだな、そう悟らせる内容でした。
昔読んで、いろんな意味で心に残った一冊でした。
いつ読んだのか、覚えていません。しかし、表題作の荒涼たる遠過去と人々、ディレィニーの語る改造海棲者の物語、キース・ロバーツの語る氷原の物語、そして何より心に突き刺さるハーラン・エリスン「おれには口がない、それでもおれは叫ぶ」は、永遠に心に刻印を残したのです。
今読み返してみると、物語の構成と思弁が、古典やニューウェーブ、その他様々なショーケースとなっていて、そのカオス模様は興味深いものがあります。
が、ハーラン・エリスンはとび抜けています。という訳で、現在、彼の短編を探索中。目当ては「”悔い改めよ、ハークレイン!”とチクタクマンはいった」です。
こいつは800円でゲット。ラッキィ。
ディレィニー文体を満喫できる、佳作ぞろいの短編集です。翻訳良し(そりゃ朝倉久志氏に伊藤典夫氏だもの)切れ味良し。SF的アイディアは多少弱く思えたし、よくあるポログラムに対する誤解があったりしますし、ピリッとくる傑作に欠ける感がありますが、どの作品も、文章の巧さ、抒情感は流石です。
"You have ignited a thermonuclear war. And no,there is no animated display of a mushroom cloud with parts of bodies flying through the air. We do not reward failure."
シミュレーションゲーム、いや、PCゲーム史上の金字塔の一つ、「BALANCE OF POWER」の作者自身によるゲームシステム解説本です。
時は冷戦の緊張した世界。アメリカとソヴィエト、二大勢力が自国の影響力を強めようと世界各国へと干渉の手をのばす。核というダモクレスの剣の下で……
私、MSX2版持ってました。中級者ランクの難易度でも難しく、何度も何度も世界を滅ぼしました。主にソヴィエト共産党書記長として(笑)
さて、この本は、地政学の豊かな知識を基にしたその決定理由と共に、ゲームのパラメータ、アルゴリズムを分かり易く余すことなく解説した、超第一級のゲームデザイン入門書です。ゲームデザイナーを志すものなら絶対必読の書です。
8キロバイト”という巨大な”メモリ節約の為に削られた機能、プレイ性の為に改変されたバランス、項目の洗練、そしてゲーム、シミュレーションというものの捉えかた。読んで得られるものは多いでしょう。
以前から欲しかった一冊でしたが、欲しい欲しいと友人にこぼしていたその時に、古本屋にてGET。感動。
再版されるべき、ゲームデザイナーが一冊づつ持つべき、名著です。
特集はデザインアィデンティティー。つまり、製品が示すCIについての話です。
私は、アィデンティティーは思想が造る、と考えているので、記事の殆どが駄法螺としか思えませんでした。例えばPC。文房具という用途を放棄したデスクトップMacがAT互換機に似てくるのは当然でしょう。AT互換機のように使われるのですから。タワー筐体でデザインに凝っても、悪い印象しか受けないのは、拡張性という最大の個性を隠そうとしているからです。逆に小さいPCは、拡張性を犠牲として特殊な機能拡張をしがちなため、個性が出易いのです。
当然ながら、優等生的な日本企業の製品には個性が出ません。使い方をあまりに多く想定しているからです。いくら性能が良くても、玉虫色の宣伝文句しかなく、具体的な用途の無いPCは、当然無個性となります。
だが、用途は使い手が決定するものです。ユーザーが個性を与えるのです。それを忘れてはならないと、そう思うのです。
吹きすさぶ銃弾の嵐!硝煙のなかに立つ、誇り高き男、そして女たち。西部の田舎町に無法者の伝説がまた一つ生まれる。マイラ・ベル・シャーリィ。”無法の女王”
だが、ここに語られるのは、違う伝説、もうひとりのマイラ・ベル、そして人々の熱き生きざま。
傑作「ベル・スタア強盗団」遂に堂々完結!!!!
今は亡き「アクションHIP」で第一話を読んだ時から虜となった、思い出深い作品です。連載中から何度も何度も読み返したんで、単行本第一巻で書き換えられたトコ、大体判ります(第二話なんて原形を留めていません)
出版社を変え、COMICドラゴンで連載再開されたという事、しばらくの間知らなくて、歯がゆい思いもしましたが、もう大丈夫、壮絶な加筆を加えて第三巻登場!
内容の密度の濃さには唸らずにはいられません。伊藤明弘の描き込みは、ディティールではなく、シーンに対してなされているのです。だからこそ、絵の迫力が違うのです。
さて、見所は、なんたってカーボ、連邦保安官補ルーク・カーボでしょう。腹の出たオッサンなのですが、それが信じられないほどカッコエエのです。私に、”おっさん萌え”という、恐ろしい指向を植え付けたキャラです。信じられないなら確かめましょう。(ぺらぺらとページを繰る)……おぉお、漢だぁああああああああああ!!!
”コロラド”マクベイン、コール・ヤンガー、マイルズ、ガランド、黒服の悪党ども、南部の男たち、ブリゲイド、鉄砲屋、ティモンズ、そしてサム、ジョウン、ジョスリンのスタア三兄妹。どいつもこいつも、活きています。第三巻は全部が見所、全部がクライマックスです。
絶対、買いましょう。
映画の中に流れる時間のような、物語のリアルタイムに身を委ねて下さい。そうすれば、そこは砂埃と硝煙の大地です。
筑波に来たときに手元を離れた「国民クイズ」単行本。そのうち買い直そうと常々思っていました。良い機会なので古本屋にて全巻購入。
欲望によって駆動される、新しい政治システム”国民クイズ”人の幸せとは、欲望を満たすことなのか?欲望には限りが無いのか?異様な雰囲気と情念で暴走する、記念碑的政治SFです。サイエンス・フィクションの最も古き伝統を引き継ぎながら、破天荒な設定と硬骨な思想で魅了したこの作品、今読んでも歯ごたえあります。
こいつも、他の本と同じく、福岡の某古書店チェーンにて購入。5/1時点で、三冊並んでいました。出たばっかだというのに。
疫病による文明崩壊後の世界。ありがちですが、完全に崩壊した訳ではなく、急速に新しい秩序と混乱が、生き残った世界を覆い、以前と変わらぬ生活とルールがやはり支配します。主人公の内省的なモノモーグによって進行する物語は、良い質感あります。
思ったとおり、九州ではほとんど見つからず、最後に北九州の大型書店でGET。
表紙、ナイス。やっぱ内藤泰弘ってヒトは、センスあります。
「TRIGUN MAXIMUM」アニメの影響か、実家近くのコンビニにも、徳間の「TRIGUN」単行本が、七月には総集編第三巻が出るとの帯つきで売られていました。今号はアニメ「TRIGUN」第一話に出てたあのヒトが特別出演。いつもより線が丁寧に描かれているような気がするのですが、気のせいでしょうか。
個性豊かなナイス悪党が、今回はどどっと顔見せしてます。今後の展開に、ゾクゾクと期待が高まります。しかし……最近熱い漢漫画と化している観があるのですが、もーそろそろ紅二点(なのか?)の復活を願いたいものです。
「ジオブリーダーズ」ベル三巻のおかげて8Pしかなくても、全ページ雪山アクション!スノーモービルでチェイス!ニセモノOURSボトムラインに注目。
「エクセル・サーガ」北九州の友人に見せたところ、大受けでした。特にメンチ。今号遂に性別が判明します。おお。しかし、渡辺って、賢さがメンチ的というか、迂闊な気のまわしかたが不幸。
久方ぶりの「HELLSING」いつもにも増して黒バックバイオレンス炸裂です。しかし、久しぶりにギャフンエンド。こんなHELLSING、夏には単行本第一巻のでる予定とのこと。
他にも、大石まさる、やまむらはじめ、高港基資、鬼魔あずさと、良い作家揃っています。そしてOURSは来月から月刊化。このページでも、表記を変えねば。
さて、鬼魔あずさ「夜の燈火と日向のにおい」ドラマCD化されるとのこと。声優は……既視感の有る方々ばかりなんスけど……