うっひゃあ、カッコワル。
後期ギブスンの代表的駄目作品が文庫落ちです。どこが駄目だって、まずストーリィ。中産階級のいない筈の未来アメリカで、中産階級的価値観で行動しちまう登場人物。次いでディティール。元ネタがなんつうか、トマソン?ゴジラ?ガンヘッド?駄目駄目です。
初期ギブスンの良さは、ディティールで現在の向こうに未来と、そしてサイエンスフィクションを確かに連結してみせた点にあったと思います。今回ギブスンが案内するのは、アメリカ人の予想する不安げなシンクタンク的未来と、TVドラマ的ファンタジーです。
お勧めしません。お金が余っていて、カバー眺めるだけでオッケェな人にだけお勧め。
オーバーロードな謎の存在が遺した、超光速移動ネットワーク。その辺境を探査する、地球−異星三種族合同の探査船「スタープレックス」。異種族間の角突き合いと中年夫婦の危機を抱えながらも、未知の星域で宇宙論を揺るがす知的存在とのコンタクトに成功した矢先に、ネットワークの入口からとんでもないものが転がりだしてきた…
探査船の外観が、平壌の例のホテルみたいで何かヤ。話の規模が大きい割には、爽快感の薄い作品でした。まぁ、娯楽作です。
とうとう、単巻ではさっぱりわからない物が出てしまいました。
次くらいで終わりにしたら、丁度良いのだが。
以前にニュートン本誌に掲載されていた記事をまとめたものですが、自分のような現場の人間、宇宙開発チェッカー、ロシヤ宇宙機好きにも結構興味深い部分があります。ザリャー・ユニティ結合体やマルス96探査機のシャープな写真は価値高し。
「ロシア宇宙開発かくされた真実」マニアには殆ど周知の話ですが、Encyclopedia Astronauticaにあった、ポリョース構造物、エネルギヤ打ち上げ機の最初の、そして軌道投入に失敗した巨大なモジュールに関する記事を補足する内容が含まれていて、興味深いものがあります。記事にはポリョースの写真もあります。
にしても”核機雷搭載武装宇宙ステーション”というのはマジだったのか!ハイテクスリラーが一本書けそうな話です。時はペレストレイカの掛け声が響き始めた頃、ゴルバチョフの米SDI計画に対する政策に真っ向から対立する軍部の陰謀、そして新型巨大ロケットの最初のペイロードとして打ち上げられる、対衛星攻撃兵器防御を施されたデス・スター!陰謀を密かに挫くべくバイコヌールに潜入した主人公たちは、打ち上げを阻止すべく動き出すが、新型ロケットに有人火星探査の夢をかけるヒロインと出会い… ほらほら。
第五章「宇宙に飛びだすテクノロジー」で、師匠が執筆した記事があります。野田さん、反物質好きだからなぁ。
今までちっちゃな写真で拝むしかなかった、コスモスやツィクロンのシャープな写真が価値高いです。工場内のゼニットの、そしてパースのかかったプロトンの写真のかっこいいことよ!
他にも組み立て中の長征や、イスラエルのロケット”シャヴィット”の写真のような、滅多に見ることの出来ない写真もあって、ナイスです。
この世で最も強力な使い捨て機械、轟音とともに天空を駆けるハードウェアの、その独特の美と魅力を伝える、ナイスムックです。
Bloody instructions which, being learned, return to plague the inventor.
血に染まった命令が、やがてその発明者を苦しめる
-シェイクスピアがデバッグについて述べた文章
いわゆる牛本です。少しでもプログラミングをする人には超推奨します。
Cプログラムの基本を、コーディングスタイルを中心に、意味を掴み易く合理的なやりかたを解説していきます。どーもポインタが苦手だとか、ツリーデータ構造なんて使ったことがない、という人はここらで勉強し直してはどうですか?
自分のような、自己流で勉強してきて、もう結構書けるようになったなぁ…と思っている頃に読むと、目の前のウロコを奇麗に破砕してくれる、そんな本です。高い所から、これまで辿ってきた迷路を眺めるような、そんな気分にさせてくれます。
内容は一貫して明快、そして上記の謎の引用のようなユーモアをも持ち合わせた、端から端まで熟読するに値する一冊です。
とうとう買っちゃいました。いわゆる新約聖書の最新第三版です。
第三版では大幅に内容の変更があったという話だったのですが、いざ本屋で実物を見てみると、値段もさる事ながら、本のサイズが…わかりやすいたとえ(?)を使うと、コミケカタログくらいあるんです。もち、凶器転用可能です。
ちょっと電車の中で読めるような、気楽なサイズじゃありません。手で持って読むと疲れます。床に寝転がって読んでいます。
内容は…なんというか…思想書なんで、入門者には絶対にお勧めしません。しかし、いつかそのうち、読みましょう。これほど冷徹に仕様の細部を、思想を述べる本があるでしょうか。その思想は学ぶ価値のあるものです。
この頃は皆誰もが、パソコンのCPUパワーはもう要らない、ソフトウェアの種類も出揃い、機能拡張も尽きてしまったと、ワードとエクセルと、ブラウザとメーラーさえあれば良いと言います。しかし、自分は断然、違うと思っているのです。
自分にはもっと色々と、パソコンにやらせたい事が有ります。パソコンはもっと高度なことが出来てしかるべきです。昔の、DOS文化の延長線上でものを考えるべきではありません。今やパソコンには、夢にもよらないような負荷をこなす準備ができています。
例えば音声認識入力。例えば家電制御。例えば状況推測。そして例えば文章解析。コンピュータは今や、実用的な速度で文章の意味を、そしてユーザーの意向を推測できるハードウェア的な能力を持っているに違いありません。コンピュータによる、ユーザーの意志の積極的な推測は、GUIインターフェイスの次に来るものだと、自分は確信しています。
こっちの言っていることをちゃんと理解する、会話や文章の内容から状況をモデル化し、ふさわしい行動をとるコンピュータが出来る筈なのです。ですが、この分野の発展は、未だお寒い限りです。
また、ドキュメンテーションのサポートも、今後の成長が見込まれるソフトウェア分野でしょう。語尾がどうとか言い回しがどうとか、レベルの低い文章技法論は皆ソフトウェアに任せて、人間は更に高度な内容を目指すべきなのです。最低でも、現在の技術ドキュメントの質は改善されるべきでしょう。
…とまぁ、こういう具合に一人で吠えてばかりいてもナンなので、自分で手を動かそうと思いました。で、買ったのがこの本。さて、日本語処理、どうすべきか…日本語は、文字コードがいろいろあって、ヤだなぁ。まずは最もレベルの低いところから。
ゲームグラフィックデザインワークには以前から興味があったので購入。噂に聞くカプコンのデザインワークとか、SNKやナムコのキャラクター性重視の派手なデザイン、そして何より、ハードウェアの制約ゆえの適度なデフォルメ具合など。
しかし、何というか、セコくまとまるというか、トータルで狭さを感じるものが多いです。まぁ、アーケイドゲームなんで、広さは無用なのですが、気になる所です。
南の海の島に、少女は家出した。世界最大規模の人工島「スタンダード・ブルー」へ。
南洋の爽快感溢れる秀作海洋SFです。地に足を付けて、少女の周囲を丁寧に書き込むことで、2024年の沖縄近海の海上都市を、海洋の深みを、潮の香と人々の笑顔を描き出しています。
単巻にタイトに収まった、とても気持ちの良い作品です。絵のディティールに清潔感と生活感があって良い塩梅。メタンハイドロレートへの言及も有ります。そして泣けます。毎度決まった所で、涙がぶわっと。
あと、カバーを剥ぐと、最近流行りのお茶目なのが。
小学六年生になると、どのクラスでも、学級委員や図書係と一緒に”エイリアン対策係”を一人選ぶ。それはなりたくない係トップ、共生型エイリアンと共に校内のエイリアンを駆除する、気持ち悪くて恐くて、そしてハードな係なのだ。
でも必ず一人は選ばれる。投票で椿組の係に選ばれた少女は、何の取り柄も無い、普通の女の子だった。係になると友達がなくなる。宿主の身体のアカを食べて生きるエイリアンと共に暮らすことになる。そして、気持ち悪いエイリアンを捕まえなくちゃいけない。恐くて足がすくんでいるのに。
それは奇妙なカタチのエイリアンの侵略、謎めいた成長の儀式だった。
一読スゴイと思いました。スパッツの体操服姿の少女三人がローラーブレードで駆けまわる、可愛くって宜しい絵柄、天使の羽を持つカエルのヘルメットのような共生型エイリアン、そしてその羽から伸びてゆく、ドリル状の鋭利な触手の描く軌跡。今最注目のSFコミックです。
練り込まれた細部と、優しげな小学生の視点、そして確かな骨格を持っていることを確信させ、興味を引き付ける謎。何故にこれがヤングチャンピオン誌で連載されているのか、またこれも謎な、注目すべき漫画です。
久しぶりのわかつきめぐみの単行本です。最近はまぁ、コンスタントに出ているのかも知れません。でも相変わらず、不意打ちです。
内容は、最近の芸風の、一風変わった家族ほのぼの物です。わかつきファンは買え。あと、メトロファルスのアルバム”俺さま祭り”も探すんだろーなぁ、おいら。