まずいなぁ。こんなにも人が死ぬ作品が面白いなんて。
中学三年生ひとクラスがまるまる一冊かけて殺しあう、噂のデスノベル、それは噂に違わず、面白かったのです。まず、基本的に単純に”面白い!”という感覚、ほとんど漫画のような、立った人物描写、そしてクラス42人分の”あの頃”、我々が一番多感だった頃が、束になって押し寄せ、読者のツボを突いてくるのです。
しかし、これは万人に薦められる本ではありません。サイバーパンクが駄目な人はまず駄目でしょう。「ヨコハマ買い出し紀行」や「守って守護月天」が好きな人も、多分避けた方が良いでしょう。そして、嫌なものはどうしても駄目な人。貴方は読んではいけない。
人を傷付けた事がある人にしか勧めません。自分が、人を傷付けうるのだということを自覚し、最悪の場合、また人を傷付けるだろう事を知っている人にだけ、勧めます。
ある意味、大人の小説です。
薄手の佳品です。短編だったなら、ですが。
この作品は、基本的にギブスンの短編「冬のマーケット」を薄味にして引き伸ばしただけの代物です。ヘモいっス。
できれば読んで欲しい一冊です。
この本、イイッス。読んでいて、ちょっと陶然としてしまいました。ありそうで無かった本です。
宇宙へ行く、宇宙で暮らすということがどういう事か、きっちり描写しています。そして描写は、これまでのおこさま向け記事に無い詳細と”宇宙に住んでいた人”のリアリティに溢れています。
宇宙開発を志すものは皆、自分が宇宙に行きたいから、宇宙開発に関わるのだと思います。しかし、”宇宙に行く”それはどういうものでしょうか。これまでイメージできなかったモノが見えてくる一冊でした。
宇宙は、夢見るに足る目標です。
宇宙に行きたい人間は、必読です。
旧ソ連の宇宙開発史において、昔から常に噂されてきた伝説の一つ、”消された宇宙飛行士”例えば、ガガーリン以前に飛んだアレクシス・レドフスキー、訓練中の純粋酸素雰囲気の中で焼死したボンダレンコ、1962年のベロコネフ、そんな名前が、これまでに取りざたされてきました。
そしてここにもう一つ、イストチニコフの名前が加わりました。
徹底した事実抹消工作と、時間の後に、ここまで資料が残っていたことは驚くべきでしょう。彼の写真は、公式なものからは、抹消された8人の宇宙飛行士たちと同じように、不器用に消されていますが、密かに残されていた写真は(不自然なくらいに)鮮明なものでした。明らかに間違った内容や図表(93P参照)も含まれていますが、イストチニコフをその生い立ちから追う筆致は緻密で、彼と当時の宇宙開発情勢を浮き彫りにしています。
彼が乗っていたとされるのは、1968年に打ち上げられたソユーズ2号、そう、無人で打ち上げられ、ソユーズ3号とランデヴ飛行した、そしてその後ドッキングを意図したものの、失敗に終わっていたことが判明したミッションです。3号には宇宙飛行士ベレゴヴォイが乗っていました。そして2号には彼と犬が一匹、クローカが乗っていたのです。
以前から疑問に思っていたのですが、このソユーズ同士のドッキングミッションで、ドッキング装置のメスに当たる部分の資料がほぼ皆無なのです。探すと、最近撮られた怪しい機体の写真などが見つかるのですが、当時のものはソユーズ5号のものが少々という具合です。2号のドッキング装置もメス型でした。これはただの偶然でしょうか?
イストチニコフとソユーズ2号に何が起こったのか、実のところ、解っていません。その部分の記載は、実のところ解釈に困るものです。
これは、精読すべき本です。最後まで読んでください。赤いページの最後の一文まで。
文庫落ち記念です。
私が持っているのはハードカバーの思索社版。15の春に、本屋の棚から発せられるラヂオアクティビティに惹かれて、少ない小遣いはたいて買ったモノです。多少威張らせてもらえるなら、これは他のオタクメディアが知る数年前の事であると付け加えさせて下さい。えっへん。
哺乳類の一つの目まるまる、これまで知られることの無く、特異かつ進化史上重要な意味を持つ動物相が、この本で明らかにされているのです。信用できないと?しかし帯に一文を寄せている京都大教授は実在の人物です。
しかし噂では、文庫版には増補分が収録されていないとか。ジェットハナアルキー!
せっかくだから、手持ちのヘンな本をいくつか紹介。
これは題の通り、景気の循環は太陽活動の循環と関連を持つと主張しています。中に引用されたデータは、よそではあまり見ることのできないものばかり。
実際のところ、結構まじめに論じている本で、太陽活動と景気は直接の関連を持たないことを認めています。同期はしていないにしても、時として極めて近似したパターンを両者が描く点は、認めても良いと思います。
ただ、こんな本を出しちゃう著者はその後暴走し、パターン探しにハマってしまいます。あれまぁ。
これも、ヘンな本だから紹介。
”日本で初めてのヒエログリフ入門書”役に立たないこと折り紙付きの本です。
これで、エジブト神聖文字の文法の初歩がバッチリ!という学習書です。ヒエログリフは音を表すと同時に表象文字でもあるので、漢字を持つ日本人には馴染み易いかもしれません。しかし、馴染んだ所で、どうしようも無いのはいうまでもナシ。
ワイアード日本版のフォーマットをそのまま受け継いで創刊された雑誌です。
…えー、こうやって冷静に眺めると、末期ワイアード日本版が、どの程度腐っていたか、よくわかってきます。そこに見えるのは、薄いサブカル向けゴシップ誌。
スターリンングやスティーブンスンの文章が読めないのは当然だし。
これからは、山形道場だけ立ち読みで済ませます。
影のエッジの具合が素晴らしいです。構成、描線共に力強さと洗練が感じられます。もしかすると向こうの人の洗練は違うのかも知れませんが、線の良さ、影の良さってものは自然に匂ってくるものです。
また、絵の質感は明暗境界で特ににじみ出てくるものですが、硬質で非常に美しいです。
アメコミと言うより、バンドデシネに近い雰囲気がありますが、アメコミです。また、フキダシ等の文法が日本マンガに近く、違和感無く読めるでしょう。
二学期になっても、エイリアンはやってくる。6年椿組、大谷ゆりにとって、それは異様で、つらいながらも、それは過ぎてゆく日常。
だが、”侵略”をコントロールする側にとっては、予測ざれざる事件だった。最優秀の候補二人を、恐らくは失ったのだ。やがて主人公、ゆりにも、じんわりとその違和感が感じられるようになる。ふたりとも、くみもかすみも、変わってしまっていた…
現在最注目の漫画の、単行本二巻目です。単行本第一巻を通じて慣れ親しんだキャラクター、小学六年生の少女たちの変貌には、めまいがするような感覚を覚えました。
読者は、これまで理解できていたキャラクターたちが、何か理解できないものに変わっていくプロセスを、実感するのです。
完全に物語と登場人物をコントロールしている、作者の力量には、感嘆を禁じ得ません。異形のものを描く筆力と、あの絵柄、そして絵柄に似合わぬ圧倒的な展開。
勿論ですが、お勧めします。
表紙はトライガン。キャラの肌色が、これまでのものと違う気が。ソフトか描き方を変えられたのでしょうか。折り込みポスターは米村孝一郎氏、氏らしい絵柄ですが、アワーズのロゴが邪魔。
今月のトライガン、パペットマスターの人形が握るコインに、あの設定が生きていた事が判明。そういえば、雷泥もコイン、持っていたのでしょうか。全部揃うのかなぁ。
やー、今月は、ミリメリのカットが一杯あって、ちょっとしんみりして、良い感じです。さて、ヴァッシュの新しい義手、描き易いのでしょうか?仕込み銃はどうなるのでしょうか?
エクセルは先月からの六本松さん話。登場第一話目にしていきなり木っ端微塵、ロボだと知れた彼女が、妙な具合にリニューアル。蒲腐博士の秘書の血筋らしい製作者四王寺五条、四王寺と五条は太宰府の地名です。再び投入される前の形式タイプは、どういう名前になるのでしょうか。七がつくと予想しますが、七隈?七ツ釜?フェイントで八女?
しかし、最近の大雨による、福岡での痛ましい事故、あれも被征服予定民たちがちゃんとエクセルを読んでいれば…水没ネタといい、水圧ネタといい、予言していたのか?
やまむらはじめ氏の「まつりの景色」空気の描き方というか心理描写、このレベルってやっぱ凄いです。来月も読めるし。
宇河弘樹氏「円環の廃都」はモロにギブスン、スプロール入っていて、昔ハマった身としては、何とも読んでいて苦しいというか、ちょいと止めて!ってな感じが。
いや、”スプロール”シリーズの固有名詞に近いセリフを吐かれると、ちょいと違和感が。絵、内容共に良いので、その点が気になります。
犬上すくね「グレイトブリーダーNATUME」やーええわぁ。特にめがねっこ。
しかし…六人の新鋭・俊英って、大石まさる氏、宇河弘樹氏、犬上すくね氏はもう作家陣として馴染んでいるような。
さて、今月のジオブリーダーズ!成沢のサービス!新兵器デジタル処理!すずき班長!今明かされる必殺技!ペット!よく判かる神楽総合警備!くううぅッ。
そうです、伊藤センセ、Mac新しくしたついでに、CG処理を投入しはじめたのです。全く新しいイメージを見せるカラーイラストは、「セレスティアル・フォース」中川圭士著 角川スニーカー文庫 の表紙や口絵で見ることができます。カラーに関しては、今後イメージがガラッと変わりそうです。来号の表紙に注目。
今月の見所は、田波センセによる、わかりやすい状況説明。様々な謎が明かされ、状況が整理されています。そう、絶叫の理由が明らかになるのです。
そして、化け猫たちの、包囲網の強行突破!カラニシコフを手に持つ化け猫たち、銃撃とともに飛び出す貨物トラック、包囲する県警のパトカーを無反動砲で排除!容赦ない銃撃と死。そしてどこかで、全てを見透かすかのような、眼鏡の下の冷たい目。
来号は連載第50回目!単行本は8/26予定!待つ!待つけど待てない!