新種の鴨
(04/1)

[筆:高橋洋囲卓の会理事長、写:高橋/粥川]
 2004年初の囲卓の会、温泉シリーズ第六弾は、
 1/10-11に伊豆伊東温泉にて開催された。
 
前回伊豆長岡温泉では男性のみ8名と会の行く
 末が案じられたが、地道な鴨発掘作業の成果か、
 今回は初参加3名を含む史上最多の15名、かつ
 史上初の三卓制が導入されるなど、新たな展開
 を感じさせる大いに盛り上がった会となった。

@伊豆伊東温泉に集合
 1月10日11時50分、JR伊東駅には、東京から
 芝村茂樹氏を含むいつもの面子12名と、名古屋
 から初参戦となる林(旧姓杉浦)義隆重役が時間通りに集まった。この時点でやはり名古屋
 からの常連花岡チャック(道世氏)は消息不明のまま登場せず、急遽踊り子号の車中では芝村
 常任理事の積極的な提起により常任理事会が開催され、万が一14時競技開始時にも間に合わ
 なかった場合は、規約第十九条「遅刻条項」を適用し、罰則の対象となることが確認された。
 結局チャックは遅れること30分程で到着し、遅刻の常連・平田泰隆常任理事対策として設け
 られた初の遅刻条項の適用は見送られた。
 14時に宿、ホテル・ラヴィエ川良にチェックインし、粥川議長
 の厳しい指導の下、豪華な一階ラウンジにてくつろぐ暇も無く
 即刻競技開始となった。粥川議長は昨年待望の長男が誕生した
 ことにより本会初の欠席が危惧されたが、何と初日のみ日帰り
 で参加するという強行日程の下、「半荘2〜3回で交通費を
 浮かせて帰る」との気合いの入れようであった。こうして会は
 始まったのだが、今会の新機軸として「三卓制」が挙げられる。

A三卓制の導入
 これまでは「二卓制」と称し8名で一軍・二軍の二卓を構成、半荘毎に勝敗に応じて各々の
 面子を入れ替えつつ、二軍から一軍へ「場代」を納めるという制度であった。今回12名以上
 の競技者が集まったことにより、それを一軍・二軍・三軍で行うことが可能になったので
 ある。このため急遽前日金曜日に常任理事会が開催され、職務時間中にも拘わらず数時間
 に渡り電子的に激論が重ねられた結果、二卓、三卓、更には輝かしい未来への希望を込め
 四卓制を含む「複数卓制」として新たな条文が定められるに至った。
 それによれば、第一戦目は任意で三卓に競技者が割り当てられ
 その結果により三軍の構成員が定められるため、これ迄に無く
 第一戦が重要になる。しかし粥川議長は意気込みが空回りした
 のか初戦最下位となり、三軍スタートが決定した。ほかに前回
 彗星の如く現れ、豪快な「酔っ払い麻雀」で「名誉顧問」の称号も
 与えられた大西基量氏、いつも通りご夫婦で参加の河田浩氏が
 四位となり、更に「ワイルドカード」ルールで第三位三名中最低
 ポイントの高橋理事長を加え、この四名が三軍となった。
 史上初の三軍は全員が落ち込み、更に芝村氏
 持参の毛布をマット代わりとして手元不如意
 の中、暗いムードのまま競技が進行した。
 それでも粥川氏はこの半荘のトップを飾り、
 ニ半荘合計を僅かにプラスとした。議長は、
 他の競技者が睡魔に襲われる、深夜に攻勢に
 出る戦術を得意としており、僅かニ局で去る
 ことに後ろ髪を引かれる思いで、翌朝の大垣
 発東京行ムーンライトながら(AM3:14熱海発)
 迄粘るという案も出たものの、後の取材活動
 を高橋理事長に託し、愛する妻子の元へと
 戻っていった。これだけの為に伊東往復する

夕食前唯一の全員集合
 という、粥川議長の囲卓の会への思い入れには、ただただ頭が下がるばかりである。
(議長追記:麦酒消費の方も急ピッチに努めたため、二局目は殆ど内容を覚えておらず、
 いきなりトップになっていて驚きました。存外に侮れぬ、酔いどれ打ちなり)
B新種の鳥三羽
 こうして夕食を挟み通常の二卓制に復して中盤戦に突入する
 のだが、今会最大の特徴及び盛り上がる要因となったのは、
 やはり新たなる三名の参加者である。その中でも、夕方17時
 に満を持してご出座されたのが、土井たか子氏(本名:松尾
 智晶)である。土井氏は昨年社会民主党党首を辞任され、初心
 に帰り4月から慶應ボーイになる(本人談)とのことで、その
 合間に高橋理事長の説得に応じての初参戦となった。理事長
 は、毎回その口撃が他の参加者の顰蹙を買っている芝村氏の
 当て馬にと天敵の出馬を依頼したのだが、その狙いは大いに

雛壇は高橋理事長、前回優勝の
前川氏、芝村常任理事

朝からワインの松尾氏
 当たり、17時以降土井氏の存在感は質量共に会場を圧することとなり
 相対的に芝村口撃の伝染力が落ちたとの参加者一同の感想である。
 その土井氏は「女は麻雀が強くてはならない」とのお父上の教育方針の
 下、「牌を触るのは16年ぶり」ではあったが、矢野(酉太郎氏)顧問主催
 のレディース・教育卓における飲み込みの速さには、目を見張らせる
 ものがあった。夜半には、初心者ながら花岡チャックと共に正式競技
 にも参戦、最終ポイントこそマイナスになったものの、見事初勝利を
 飾る辺り、今後の台風の目となることは間違いないと予感させた。

 第二は、寒いギャグでお馴染みの小松雅和氏(HI90)である。氏は初心
 者とのことだったが昨年末に入会意思を示したため、ひと先ず今回は
 「正式競技者」で参戦してもらい、様子を見つつ鴨として育てて
 いこうとの常任理事会の方針だった。競技者全般の雀力底上げ
 に伴い荒稼ぎが出来なくなってきた上位常連者は勿論、とくに
 前川賢司氏ら羽ばたき始めるものの未だ水際の現職鴨陣は愈々
 後任登場かと大いに期待していたのである。その小松氏は前半
 こそ大人しく猫を被っていたものの、中盤より嘗てNCFOとして
 培った数字への強さを発揮し、「最短距離で勝つ」(ウッチー談)
 堅実な方針の下、事実上の初心者として十分の健闘を見せた。
 夕食後にはチョンボをしでかしたが、他競技者の温かい親心に
 より例外的に不問とされる一幕もあったものの、その後成績は
 向上を重ね、それに伴いギャグの方もいつもの鈍さを増し一同

浴衣姿の小松、林両氏
 を驚愕させた。更に夜半には一軍進出も果たし、一時プラスにもなった上で、最終結果は
 10位の−55ポイントと、堂々たる成績にまとめた。反省会において「葱を持って来るのを
 忘れました」と発言する辺り、次回以降完全なる正式競技者たる自覚があると見られる。
 第三の新たなる参加者は、前記の林重役である。若くして
 常務に登りつめるだけあり、盟友花岡氏を置き去りにして
 も熱海駅で東京組を出迎える辺りはさすが。経験豊富と前
 評判の高かったその実力を初戦から発揮し、第一戦ニ位
 ながらワイルドカードで一軍の一角を占め、その後も一軍
 を中心に堅実な戦いを続け、最終ポイントは+36で四位と
 健闘した。因みに今大会の最高得点は、林氏の「リーチ・赤
 5・ツモ・一発・ドラ5」の親倍満24000点であったことは、
 明記しておかねばなるまい。二日目はアイセック後輩の
 結婚式のため、午前7時半には礼服に着替え愛知県へ蜻蛉返りを果たしたが、今後も上位
 陣の一角を占めることは間違いないと思われる。
C勝敗の行方
 さて勝負の行方だが、序盤
 から衰えぬ「口撃力」を発揮
 した芝村氏、実力No.1の矢野
 顧問、更に戸矢博明氏らが
 長らく一軍に入り浸り、他者
 を寄せ付けぬ激しい首位争い
 を演じることとなった。
 しかし二日目に入り、戸矢氏
 氏が度重なるチョンボで自滅

初日最終戦は午前3時半迄

2日目は午前9時から
芝村理事主催の教育卓にて
頭をかかえる学生達
 する一方、芝村氏は天敵土井氏からそのあくどさをして
 「伊賀忍者」と評されるなど、いつもの口撃は切れを欠いて
 きた。それでも一軍で軽く負けて二軍で+85と荒稼ぎする
 お得意の「エレベーター戦法」も活用し、高橋理事長をして
 「悪人ながらあっぱれ」と言わしめるしぶとさは健在で、
 「二軍だから(場代)−5(で総計80ポイント)や」と変わらぬ
 減らず口を叩くと、日頃苛めに遭っている盟友・前川氏が
 「そんなの焼け石に水・・の反対や」の名言を残す場面も。

 最終的には矢野氏が一人200ポイントを越え、温泉シリーズ
 初の総合優勝、そして芝村氏が+159の2位と、3位の戸矢
 氏を僅か1ポイント差で抑える結果となった。

 一方最下位争いであるが、奇しくもこちらも三名が突出し
 戦いを繰り広げる展開となった。筆頭河田氏は、安定的に
 −百点台を維持して低位置を堅実に守り、遂には「百の会」
 旗揚げを宣言。結局最下位で終わることとなったが、教育
 卓で驚異の鬼ヅモを披露した幸子奥様に交代かとの声を
 否定し、次回こそ「大躍進」を遂げると誓っていた。
 前回の「大躍進」、ディフェンディング・チャンピオン前川
 氏は、序盤こそ上位集団を伺える地位につけたものの、
 中盤に「ノー聴リーチ」の珍チョンボが露見してからは本来

最終戦、皆に後ろから覗かれ
 緊張するの図
 の力を発揮し、河田氏に次ぐ13位に終わった。最後に大西名誉顧問は、「温泉に入ったら
 トップ」戦略に従い、第一戦では東場で自ら飛ぶことにより待ち時間を作り風呂へという
 高等戦術に出たものの温泉効果もプリン体効果も出ず、不完全燃焼の12位に終わった。

 実は前半これらメンバーと共に、いやそれ以上にマイナスを重ね一時は「百の会」仮入会、
 上諏訪の再現かと言われるほど絶不調だったのが、高橋理事長である。しかし、自ら発掘
 した土井たか子氏が登場して芝村ウィルスの伝染力が弱まった頃から正気を取り戻し、
 独立卓において初心者からポイントを稼ぐ悪徳商法で弾みをつけて以降勝利を重ねた。
 結局「百の会」の正式会員にはなれず−37ポイントの9位と繕い、理事長職の進退伺い提出
 は辛くも逃れることとなった。
 一年ぶりに夫婦揃っての参戦となったのは、小坂・内山
 夫妻である。2回目の参加となる小坂旦那は、競技開始
 冒頭に「前回十分に撒き餌しましたから」と淡々と語った
 通り、煩いじじばばに交り寡黙に堅実な競技を続けた。
 途中人間プロファイラー土井たか子氏から、「あたし理系
 好きやねん」と尋問攻撃に遭い、更には「私は筋肉で男を
 選ぶ」と発言したウッチーに、「そしたらあんた何で小坂
 さんを選んだん」と驚愕の発言も飛び出したが、その様な
 雑音は全く意に介さずに総合ポイントでは+35の5位と
 健闘し、もはや巣立つ前のツバメとは言わせない結果を
 残した。一方の妻、ウッチーは相変わらずの負けないが

ホテル・ラヴィエ川良をチェックアウト
 勝てない麻雀を続け総合11位。戦前に「ウッチーさんには振り込みません」と挑発された
 新参者・小松氏に僅差で負けたことが余程悔しかったようで、今度は絶対にチョンボを
 見逃さないと強く警告すると共に、ゲームボーイでの過酷な特訓を決意していた。なお
 旦那の活躍にもかかわらず、夫妻合計では若干のマイナスとなり、旦那の小遣い月4万の
 値上げは難しいとのことである。

相模湾をバックに
D記録尽くしの会
 ということで今回は、
  ○3名の新たなる参加者(松尾、小松、林)
  ○15名の最多出席者
  ○12名の正式競技者による三卓制実現
  ○2名の初心者による正式競技参戦及び勝利
   (松尾、花岡)
  ○19回の最多半荘
 と記録尽くしの記憶に残る会として、1月11日(日)
 午前12時に競技を終了した。新規参加も増え、競技
 者もより多彩になったことにより、会全体が活性化
 され内容も濃くなったことは、主催の常任理事会と

伊東市街を散策
 としても喜ばしい限りである。

 後任の鴨を探していた前川氏が、夜半以降何度も小松氏の
 ことを「新種の鴨やなかった・・・」と嘆息していたのは
 象徴的だったが、鴨であらずとも新種の鳥が加わり、また
 鴨が孵化し巣立っていくことは、本会の発展にとって大変
 望ましいことである。今回、初めて初心者優遇制度を適用
 した正式競技が開催され、かつ実際に初心者が勝利を記録
 したこともあり、今後更に競技者が増え、三卓のみならず
 四卓も実現したいと夢は広がるばかりである。次回には
 土井氏に続く超大物の出馬も密かに計画されており、我こそはと思わん方は、鴨である
 なしに関わらず大歓迎であるので、一声おかけ願えれば幸いである。
 最後に二日目の反省会の後であるが、今回は自然の中で
 健康的にミカン狩りをと計画していた幹事の配慮も空しく
 競技不調だったウッチーを中心に、更なる賭場で仕返しを
 との声が強まり、急遽予定を変更し自由解散の上、有志8
 名でボーリング大会を開催することとなった。河田夫妻、
 小坂夫妻、小松・チャック、高橋・松尾の男女ペアー対抗
 戦となったが、13号のボールをピンポン玉のように操った
 松尾女史の男勝りのパワープレーに一同改めて驚愕した
 ことを付記しておきたい。

相模湾を一望す魚楽亭にて反省会
子供たちの 子供たちの 子供たちへ
(03/11)

03年度恵比寿倶楽部より
 唐突だが、関係者二世陣命名の統計を取ってみた。本誌
  では従前、その意図を明らかにすることなく、「わが国
  をイメージさせる言葉」を募集し、この際は「桜」と「和」
  が回答の多くを占めた。結果的に本誌主幹の長男誕生に
  際し、直接それらが採用されることは無かったが、今般
  は実際に如何なる文字が多く使われているかを検証し、
  昨今の命名の潮流を探ってみたいと思う。

 とはいえ対象は86-90世代かつ、必然的に筆者の掌握する
  二世陣計96人に過ぎない。従ってあくまで一試論乃至は
  一寸した思い付きに過ぎないことをお断りしておく。  
結果は右図となった。最近5年間の一般的な男児人気の名前ベストテンの
 類を見ると大、太、翔などが例年上位にランクされており、太郎・太朗
 も含めた「太」の男性首位は頷ける。一方、女性では美、優、咲などが
 多いが、意外なのは「子」が断突の首位に輝いたこと。世間的には減少傾向
 とされるが、どっこいリバイバルを先取りしているのやも知れない。

と連々と分析の様なものを試みてきたが、ここに掲げたのは親となった者
 が子に与えた想いの結集である。名前は親が子に与える最初で最大のエゴ
10
人・優・香
健・生・隆
 との指摘がある。そこには今後のわが国を背負う若人への我々の世代の想いが込められて
 いるのではないだろうか。