鑑賞日:2003.11.26/公開日:2003.12.06
「ラスト・サムライ(THE LAST SAMURAI)」特別試写会参加!
(演)トム・クルーズ、渡辺謙、真田広之、小雪
皆さん、こんにちはー。
今日ご紹介するのは、アカデミー賞に4部門ノミネートされながら惜しくも受賞を逃した「ラスト・サムライ」です。
私はノミネート前の早い段階に試写で観たのですが、正直ここまで盛り上がるとは思ってませんでした。(^-^;
なぜ盛り上がると思わなかったかは後にして、とりあえず簡単なストーリーをご紹介しましょう。
19世紀末。南北戦争のヒーローであるネイサン・オールグレン(トム・クルーズ)は、
侵略に他ならない原住民討伐に疑問と失望を感じて自暴自棄になり、酒びたりの日々を送っていた。
そんなネイサンの元に、“近代国家形成のため、日本軍を訓練する教官にならないか”という話が舞い込む。
金のため……。最初はそんな捨て鉢な気持ちで日本へやってきたネイサンは、
一人の“侍”に出会う。彼の名前は“勝元(渡辺謙)”。天皇と国のために命をささげてきたが、
名誉も信念もない近代化に反対し、官軍に反旗を翻していたのだ。
勝元の姿に過去の自分を見るネイサン。そして二人は武士道スピリットを胸に、戦いに身を投じていく……。
黒澤映画に影響を受けた監督に日本好きなトム・クルーズが加わったことで、
これまでのハリウッド作品にはない“サムライ像”が描かれています。刀を振り回すだけでなく、
スピリチュアルな面を細かく描写するといったところです。
また、明治維新の頃は日本的な和装と近代的な洋装の人物が道で行き交うなど、
ビジュアル的にも“過渡期”を表現しやすいわけで、
それをスピリチュアルな面での“古き良き日本の存亡”に重ねて見せるというのは、うまい手法だなぁと思います。
そのほうが、歴史とか文化とかよく分からない人に説明するには、分かりやすいでしょうしね。
そのあたり、いかにも外国人的発想だなぁと思うのですが、
何か単純すぎるように感じて引っかかってしまいました。
武士道の精神というのは、“ちょんまげ”が“ざんぎり頭”になったところで失われるものではないからです。
そもそも武士道とは、儒教(朱子学)的な裏づけの上で日本で形成された道徳観念のことのはず。
発端は鎌倉時代まで遡りますし、江戸時代に発展したとはいえ、明治維新後にも脈々と受け継がれています。
というより、むしろ『主君に対する絶対的忠節を重視し、自己犠牲・礼儀・質素・倹約を心がける』
という“武士道”を基本とした“道徳教育”は、明治時代以降に一般市民にまで広がったのではなかったでしょうか?
朱子学を元にした“武士道”道徳教育が広く浸透したからこそ、
第二次世界大戦集結まで“お国のため”という自己犠牲が払われたのではないのですかねぇ
(←別にそれを肯定していません。儒教も解釈を誤ると、“トップがこけたら皆転べ”と間違った方向へ行くことがありますから)。
また、この作品は諸処の説で、西郷隆盛が勝元のモデルではないかということですが、
西郷隆盛も維新の三傑の一人なわけで、別に武士道の存続をめぐって西南戦争になったわけではないですし。
西南戦争をモデルに“古き良き武士道と利己主義の戦い”みたいに描かれてしまうと、
単純に“昔は良かった。今は良くない”って言われてる気がしました。うーん。ひねくれすぎですか?
でも、かつての“武士道”が道徳的に優れているかどうかは別として、
現代の道徳観念のなさには私自身危機感を感じていますので、モラルのなくなった“今どきの日本人”には、
学ぶべきところがあるようにも思いました。
それにしても、「かつての日本はあんなすばらしいスピリットを持ったサムライがいたんだー」
とか感動していた日本人が多かったのには、ちょっとがっかりしました。
だって、少なくとも私の世代(1970年代生まれ)までは、名前こそちがうけれど、
江戸時代に発展した“武士道”をベースにした“道徳教育”を教科書で学んだんですよ!?
昭和まで脈々と受け継がれてきた“道徳”が世界的に優れていたかどうかは分かりませんが(個人的にはおおいに疑問“お上には逆らうな”的で。お上がいつも絶対的に正しければうまく機能するんですがね)、
習ったモラルって、一体どこへいっちゃったんでしょうか?
まぁ、モラルって学校で習うべきものだとも思わないのですが、でもなくっていいということではないはずです。
この作品をきっかけに、世界に誇れるような“モラル”
を一人でも多くの人が発揮して世の中を改善できれば、と願わずにはいられません。
なんか、今回は硬い話になっちゃいましたが、自己犠牲とか礼儀とかに欠けてるなーって人は、
観るとよいと思います。はい。
しかし、トム君はおいしい役どころで、さぞご満悦だったろーなー。(^-^;;;
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