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December,9,1999

「順列都市 上下巻」
著者:
グレッグ・イーガン
出版社:
早川書房
分類:
SF,文庫

久しぶりにSFファンとしての喜びを味わうことの出来た「宇宙消失」に続いてのラッシュ、これもまた良い塩梅です。

セルオートマトン、人工生命好きとしてはもう、妄想を絵に描いたような作品です。

”塵理論”は穴が有りすぎてどうも…ですが、”惑星系まるごとセルオートマトン”という、プラニバース風の夢想を実現する為なら、喜んで受け入れます。

今年の京フェスでも、最も話題となった作品です。ただ、話題、議論は塵理論に集中していて、セルオートマトン関連の話題はちっともなくて、落胆しました。

塵理論は、登場人物も告白している通り、理論とは呼べない代物ですし、ものの見方のひとつで収まっている辺りでしか成立しないものだと思います。観測の可能性があるだけで、波動関数が収束することを想起して下さい。

セルオートマトンの描写の豊かさ、無駄に濃いディティールこそ、この作品のツボだと思うのに…(泣)。

TVCセルオートマトン、オートヴァース・シミュレーションの持つ性質についての議論とか、したいんです。例えば、件の惑星系で、光速はどう定義されるか、セル更新の非等方性の影響、そしてゼノンのパラドックスはどう受け取られるか。

実は…昔、おんなじようなの、書いたことがあるんです。50キロバイトほど。自分が初めて書いた小説らしいもの、最後のハヤカワSFコンテストへの応募作。今読み返すと、間違いと下手糞さに顔が火照ってしまうほど恥ずかしい代物ですが、セルオートマトンへのダウンロードがメインアィディアで、但し異星の自己増殖機械の改変した、星系まるごとセルオートマトンという代物。ダウンロードプロセスの描写は今でもこっちが勝っている、という気がするし。

バタフライ計画も、実は似たものを別に考えていました。こっちは現実的に、南大東島沖合いの、いわば台風の日常通路に、1キロおきに10×10、格子状にポンプを設置するというもの。ポンプで深層水を汲み上げ、水面温度をコントロールします。熱機関である台風の熱サイクルに介入するのです。

というわけで、昔からセルオートマトンには執着があったのですが、また興味が戻りつつあります。

こういう、能動的な興味を引き起こすところに、ハードSFの良さがあるのだと思います。

「C++シミュレーションズ&セルオートマトン日本語版」
著者:
Scott Robert Ladd
出版社:
株式会社ディー・アート
分類:
趣味,専門書

セルオートマトン熱再び!という訳で、本棚から引きずり出してみました。

ここで、セルオートマトンの説明をちょっと。そうですね、ミカンがずらっと、床を埋め尽くした部屋を思い浮かべてみてください。ほっておくと、そのうちミカンは腐りだします。腐ったミカンは、周囲のミカンを腐らせます。

この腐るパターンは、まるで水面に波紋を描くように広がることでしょう。そう、水面の波紋も、セルオートマトンでシミュレートできます。気象予報もそう、気象庁のスーパーコンピュータで動いているのも、このセルオートマトンなのです。大気を数キロ刻みで桝目に分けて、その桝目ごとに、熱の伝わりを計算するのです。

でも、現実をシミュレートしないセルオートマトンってのも、ありそうですね。その代表的なセルオートマトン、ライフは、周囲を単純な規則に従って変えてゆきます。

  • 死んだセルは、廻りのセルぴったり三個が生きている場合、生きかえる。
  • 生きているセルは、廻りに生きているセルが、二個もしくは三個無いと、死ぬ。

この二つの規則が、二次元のセル空間を奇妙なパターンで埋め、蠢かせるさまを見れば、このセルオートマトンの名称についても納得がいくことでしょう。

さて、この本はまず、Windows用の特製グラフィックライブラリの導入から始めます。効率的なビットアクセスの為にはこれで正解、なのですが、いきなりの高い敷居です。

そして実装はクラスで行います。そりゃC++ですから。この本は、オブジェクト指向プログラミングを理解していないと駄目なのです。

つまるところ、私もようやくこの本が読めるようになった訳です。以前は法外に難しいと思えた本ですが、今ならもう大丈夫。

大多数の人にはお薦めできない本ですが、良い本です。

「ルーディ・ラッカーの人工生命研究室 on Windows」
著者:
ルーディ・ラッカー
出版社:
アスキー出版局
分類:
趣味,専門書

つーわけで、もちょっと一般向けな本を。

これは、その題の通り、あのラッカーによる、オートマトン一般の本です。こっちでは、プログラムはラッカー謹製のものが用意されていて、オートマトンのパラメータを変えるだけで、色々と楽しめようようになっています。

パラメータを変えるだけといっても、そこは奥深い深淵さえのぞく、多様性の世界が開けています。丁寧な、コンピュータの動作原理を、チューリングマシンにまで遡って、実にわかりやすく解説しています。

収録されたプログラムがWindows専用、という点はありますが、ある意味それも含めて初心者から中級者までお薦めできる本です。

ちなみにプログラムは現在、ここから自由にダウンロードできます。


さて、真にお薦めするのは、初心者に限らず、コンピュータを持つもの全員に読ませたいのは、下の本たちです。

「コンピュータレクリエーションI,II,III,IV」
著者:
A・K・デュードニー
出版社:
日経サイエンス社
分類:
趣味,ムック
10 INPUT "Re?";A
20 INPUT "Im?";Q
30 INPUT "Size?";SID
100 SCREEN 5
110 GAP=SID/100
120 FOR J=1 TO 100
130 A=A+GAP
135 B=Q
140 FOR K=1 TO 100
150 B=B+GAP
160 X=0:Y=0
170 FOR N=0 TO 99
180 IF X*X+Y*Y>4 THEN GOTO 300
190 V=X*X-Y*Y+A
200 Y=2*X*Y+B
210 X=V
220 NEXT N
300 R=4
310 IF N>10 THEN R=15
320 IF N>20 THEN R=4
330 IF N>30 THEN R=15
340 IF N>40 THEN R=4
350 IF N>50 THEN R=15
360 IF N>60 THEN R=4
370 IF N>70 THEN R=15
380 IF N>80 THEN R=4
390 IF N>90 THEN R=1
400 PSET (J,K),R
410 NEXT K
420 NEXT J
430 GOTO 430

私はこれを、"I"の記事を読みながら書いたことを覚えています。恐らくこれが、雑誌の丸写しでない、最初のプログラムではなかったでしょうか。これはお馴染みのマンデルブロ集合を描くもので、買ったばかりのMSX2で実行したものです。


コンピュータとの付き合いかたには、二種類あります。

アプリケーションランチャーとして扱っていくものと、そしてホビーとして付き合うことです。ですが、いつしかホビーのつもりが、面白いアプリやゲームの実行に、関心が移っていませんか?出来合いの新規なエンタテイメントを取り出す箱になっていませんか?

コンピュータレクリエーションとは、演算の結果でなく、内容と意味に面白さを見出す娯楽です。コンピュータに与えてやるのは、マウスのクリックではなく、論理、インテリジェンスな振る舞いです。

私はこの楽しみを知ることが出来ました。だから、貴方にもこの楽しさを知って欲しいのです。


この四冊は、完璧なレクリエーションコンピューティングの入門書です。と同時に、コンピュータの歴史のある側面の生き証人でもあります。それは人工生命、コンピュータウィルス、複雑系科学、公開鍵暗号、ナノマシン、そして様々なCGアルゴリズム。当時一番面白かった領域において、このコラムは先端だったのです。

まずは読んでください。次いで、プログラミングをする準備を始めましょう。埃をかぶっていたコンパイラのパッケージを開けましょう。Windows環境なら、強力なフリーの開発環境がダウンロード可能です。

プログラミングは難しいものでなく、コンピュータを持つもの全てがすべき事なのです。

プログラミングをしないうちは、本当にコンピュータを使ったことにはならないのですから。

「OpenGL Programming for Windows95 and WindowsNT」
著者:
ロン・フォスナー
出版社:
アジソン・ウェスレイパブリッシャース・ジャパン
分類:
技術,専門書

ここ立て続けにOpenGL本を三冊も買ってしまったので、最も良いと思われるものを紹介します。

本の厚みは薄いほうですが、値段は高め、内容は平易な文章で必要な情報の中から、重要な部分を選んで説明しています。OpenGLへの総合的な理解が得られる本です。

さて、何故三冊も同じような本を買ったのか。その答えはここに。

「月刊アスキー 1999年12月号」
出版社:
アスキー出版局
分類:
技術,雑誌

パロディアスキーを適当にまとめたものが小冊子になって付録になっている、という噂を聞きつけ、えらく久しぶりに購入。

以前、パロディアスキーをPDF化してCD-ROMに収録した号がありましたが、それはもう酷いというか駄目駄目というか、問題外の収録法だったので、今回はまぁ、少しは期待していたのですが…

抜粋でテキトーに綴じただけです。ページ番号くらいちゃんと(16進で)打ち直して欲しかったものです。

私がパロディアスキーを知ったのは中学生の頃、買ったのは1987年号でした(年刊なのです)。手元にあるのは、それと1988年号の2冊だけ。その筋なら、今や一冊一万円出しても惜しくない(と思っているのは私だけでしょうか?)貴重品です。

昔はコンピュータカルチャーに不可欠の要素として存在していた、ジョーク、ユーモアというものが、今は失われたことに、本誌を読みながら思い知らされました。何とつまらない雑誌になってしまったのでしょう。

「近代プログラマの夕2」
著者:
ホーテンス・S・エンドウ
出版社:
アスキー出版局
分類:
趣味,単行本

日本のコンピュータカルチャーにおいて、恐らく最高のエッセイ集の、その2冊目です。アスキー本誌を買って、その駄目さ加減に幻滅していたところに、懐かしのこのエッセイがまだ連載を続けていた(但し、題は少し変わって「近代プログラマの夕3」)ことに、救いを感じ、探し出しました。

雰囲気はほぼ前刊と同じ、懐かしい光景やカルチャー、妙なものや伝承を、ハッキング的に掘り下げていくという基本姿勢は変わりません。エッセイとして良質であり、またその実はハッキーだ、という内容が何とも素晴らしいです。

しかし、こういう質の高いエッセイ、コラムが他に存在しないのは、やはり、日本のコンピュータカルチャーの底の浅さを表しているのでしょう。コラム、エッセイ自体は多数存在していますが、パーネルの某コラムの如く、インストールで日が暮れるような、そんな代物ばかり。そうそう、高千穂遥の駄文、まだ続いていました。アスキー読んで、そこで思いっきりアンダーな気分になってしまいました。

良質の意味を知りたいなら、探しましょう。まだ入手できるかもしれません。

「AXIS vol,82」
出版社:
アクシスパブリッシング
分類:
趣味,雑誌

特集はユーザーインタフェイス。文章も内容も、相変わらずハズしているものが多いのですが、読んで刺激になることは間違いありません。

特筆すべきはその美しさでしょう。雑誌デザインの良さもあいまって、見ていて快いものがあります。…こんな感じのアニメ誌が欲しかったり。雑誌デザインの規範の一つとして、その美点を取り入れるべき雑誌だと思っています。

実のところを言うと、ヘボいデザインのものも結構取り上げられていますし、コンセプトからしておかしいもの、デザインとテクノロジーのバランスが取れていないもの、思い込み先行デザインが多くみられます。


ソフトウェアのユーザインタフェイスについて、きちんと考察を行い、どうあるべきかを示した本が必要だと考えます。コードやデータ構造と言った、内面の美について言及したものは幾つか見られますが、ユーザインタフェイス設計について、定番と言うべき本はまだ存在しません。それは恐らく、情報理論とデザインの基本、そして標準データ交換基準と人間工学をフィッティングさせたものになるでしょう。

知識は既に充分に蓄積されています。Webデザインについてのあれこれを、論理的に外挿すれば良いだけなのですから。


ハズしている点といえば、「ユーザインタフェイスの基本は今や全て出尽くしている」というような論説がまかり通っている点もでしょう。そして、未だに3D空間にポリゴンのボディを持って歩き回ろうとし、それを以って先端を気取るのです。


最近考えているものに、音によるインタフェイスがあります。最近のPCのサウンドカードは大抵3D音響エフェクト機能を持っていて、どんな音でも、架空のどの位置からでも聞こえるように出来ます。ヘッドフォンを使えば、架空の音源の位置を、極めて精度良く、たとえば目の前の空間に並べて置くことが出来るでしょう。

つまり、音像アイコンです。更に、ステレオマイクと、指にスピーカーのような音源を装備しておけば、指の位置もわかります。超音波を出す音圧素子を仕込んだ指輪をした指で、音像アイコンを指示するような用途が期待できるのでは、と考えています。

目の前の何も無い空間に数個、かすかな音を出す音源が位置しているのを、確かに感じられる、というサウンドスケープを想像してみましょう。例えばオーディオプレーヤの、再生、停止、早送りなどのキーが、空間として胸の前に並んでいるところを。触ると説明が聞こえるというのも良いでしょう。

更に、その空間に手を突っ込むと、柔らかいものに手を突っ込んだかのような効果音とともに、PCがそれを入力として判断、再生を開始するという音景を。

ヘッドセット、というか、外見は全く普通のヘッドフォンにできるのが、ファッション上の利点でしょう。これは携帯音楽再生機器のインタフェイスとして使えます。

とまぁ、ついこないだの思いつきでこういうものが出てくるのですから、ユーザインタフェイスの可能性は未だその殆どが未開拓、テクノロジの進歩によって広がっていると言えるでしょう。

現実がSFに追いついた、という言葉がありましたが、実のところ、テクノロジに対する現実の遅延が、テクノロジに対するSFの遅延より小さい、という状況を表したに過ぎません。テクノロジは今や現実を置き去りにして驀進しているのです。

デザイナーは技術者に、技術者はデザイナーになるべきなのです。もしなれないのなら、そういう業種を作るべきです。そう、「幻視者」という職業を。

「FLAT」
出版社:
ワニマガジン社
分類:
漫画,ハードカバー

村田蓮爾責任編集、箱入りのフルカラー。漫画描きのエッジが揃ったその様は壮観のひとことです。でも高いので、「Islamabad Giants」沓澤龍一郎が収録されていなければ買わなかったでしょう。

-イスラマバードとニューデリーにでかいキノコが生えた時、俺は不法就労で東京にいた。

友達の内装工サカグチ君(21)は言う。

「君らはつっぱりすぎなんだ。ピースな日本野球を見習うべきだ」-

久々のフルカラーです。時期的に、パキスタンのクーデターにぴったりシンクロしてしまったお陰で、読んでいて唸りっぱなしでした。

「エイリアン9 #3」
著者:
富沢ひとし
出版社:
秋田書店
分類:
漫画,単行本

主人公ゆりの三学期。みんな変わってゆく。変わりたくないけど、取り残されたくもない。だったらみんなを変えれば良い。

その無邪気な残酷さと、そして大人の残酷さ。十二歳の少女たちはエイリアンになる。


1999年度もっとも話題を呼んだSFコミックも、予想通り三巻目で終わりです。

イメージは最後まで秀逸。しかし、ラストはやっぱり不満。しりすぼみな感は拭えません。

「言の葉遊学」
著者:
わかつきめぐみ
出版社:
白泉社
分類:
漫画,単行本

「わかつきめぐみが連載?何処に?」

「ぷうたお」

「何じゃそりゃ」

という具合に、変な雑誌「PUTAO」に連載されていた表題作を含む短編集です。

表題作は毎月四季にちなんだ言葉について良い感じに書き散らした2Pのもので、風雅な雰囲気が、繊細な絵柄と共に、心を和ませます。冬の景色の清潔感、透明感ときたら!

装丁、フォント等の雰囲気も相変わらずいい感じです。

「未来のゆくえ」
著者:
やまむらはじめ
出版社:
少年画報社
分類:
漫画,単行本

鋼を旋盤で削る時、送りを微妙に保ってやると、削り屑が青いリボンのようにつぅ、と伸びてゆくことがある。発条のように巻いて落ちるそれは、時として作っているものより綺麗で、繊細に見えるが、触れれば熱く、指を切る。

単行本になり、まとめて読み返して、そんなものを連想しました。

アワーズ誌に掲載された短編のうち、最近のものをまとめたものです。短編集はもう一冊「ドライエック」もあり、それもまたお薦めします。

作品の中に流れる空気がすぅと変わる、そんな読感は、判るのに名付けようが無い、そんな巧みな心理描写とあいまって、絶品と呼ぶに相応しいものがあります。

それを支えるのは、きっちりとした構成です。一番の佳作「肩幅の未来」のコマ割り、あとがきを読んで、初めて気がつきました。視点と光景の切り取り方が巧みなせいで、最初はそれと気がつきませんが、淡々とした描写だけで描く微妙な空気の揺らぎ、そして要点では多少くどいほどに描く、絶妙な手腕を思い知りました。

そして幾度となく読み返しています。

「トライガンマキシマム #3」
著者:
内藤泰弘
出版社:
少年画報社
分類:
漫画,単行本

大砂洋の中に聳立する難破植民船”村”。平和と温もりがあるはずだったそこに待ちうけていたのは、ナイヴスの手先、魔人レオノフ・ザ・パペットマスターと、魔人グレイ・ザ・ナインライヴス。

罠そして死闘、無敵の男たちの迫力の死闘!牧師の背負う十字架が今断罪する!


通巻で六刊目は,ほぼ丸ごとバトルです。滅多やたらな加筆で、キャラクターの陰影、見開きの迫力が倍増です。

抜群に良い画です。センスを感じる造形がページの隅々に行き渡っています。

漫画好きなら、激買いです。買った上に周囲に勧めまくり、そして思いっきり、その影響を受けるべき作品です。特にSF。ヴィジュアルを改革する気があるのなら、良いセンスに触れたいなら。

「ヘルシング #2」
著者:
平野耕太
出版社:
少年画報社
分類:
漫画,単行本

彼女はもはや生者ではなく、人でもない。だが、その先へ、一線を超えることに躊躇する。しかし闇の何処かで、誰かが闘争という名のチェスゲームを始めた。ヘルシング機関本部を襲う死者の群れ。死と対峙したとき、死者が死に恐怖するとき、彼女は一線を超えた…


通巻2巻目に達した、平野耕太初の記念すべき単行本です。

いつもの調子でカバーを剥ぐと、目が潰れます。毎度ながらコメントなどはやる気ゼロ、というか殺る気?

とはいえ、やっぱ平野耕太は良いです。白と黒、狂気と規律の対比。狂いっぷり無敵です。バレンタイン兄弟最高!絵のセンスは好みが分かれるところです。しかし、”イカス”と思えるかどうかで、恐らく、今時の漫画読みの資質が判定できるでしょう。

「ヤングキングアワーズ 2000年1月号」
出版社:
少年画報社
分類:
漫画,雑誌

遂に2000年1月号です。

トップは新連載「カムナガラ」やまむらはじめ。しかし…1ページめでいきなり幻滅。夢の中で、自分が意味のわからない言葉を喋る、という描写に、「△×◎※□…」…うぐぅ。そんなヘタレた描写する人じゃ無い、と思っていたのに。本編もかなり駄目。特に「未来のゆくえ」に舌を巻いた直後だっただけに、悲しいです。

今月の「エクセル・サーガ」は幼女誘拐。あう。まぁハっちゃんの「0℃じゃないからまだ死んでいない」ネタなんかが出てこなかった分だけマシかも。

「山を魅る子」内容のボリューム的に、2回に分けて膨らませても良い位の密度があります。というかバランス悪いです。画と描写はいつもながら傑出したものがあります。

今月のトライガンは、ミリィ&メリル久々の活躍です。いつもはボケにボケで突っ込む漫才コンビのような二人ですが、どうやら二人ともシリアスモードに突入の模様。

そして暗夜を進む二人。GANG-HO-GUNSのホーンフリークとガントレット。静かに予兆に備えるような暗闇。そしてもう一人、ザジ・ザ・ビーストが仕掛ける。ヴィジュアル秀逸。そして、来月の表紙は如何に!


「NEGATIVE CONTACT」竿尾悟。ぐわっ!酷い!なんというか、縦に分割線のある自動拳銃、輪胴の回転しないリヴォルヴァーで撃ち合いやっている漫画を読まされた気分です。ここはもう、ボッコボコに突っ込ませて頂きます。

まずX-34は空中発射です。外部に推進剤タンクを装備できません。推進剤はケロシン、ペイロードは180kg、有人化なんて無理なスケールです。ましてや縮小なんて…。

そしてX-33!X-33はベンチャースターの縮小試験機です。大体、実用機にXナンバーは付きません。何より、リニアスパイクエンジンは何処です!勿論ですが無人です!

宇宙機の追跡には、光学観測ってやつも用いられます。あんなデカブツ、地上から肉眼で明るく輝いて見えますから。

ランデヴは普通、軌道半周後に、相手の軌道と内接もしくは外接する遷移軌道をとって、エアロックの軸線上数百メートル以内まで接近し、それから、対象とはエアロック軸線方向の変移ベクトルが接近方向でわずかに違う軌道に乗り、秒数センチ程度の速度でドリフトします。対象方向に推力向けて追いつくな!物理法則に違反するなボケ!

……はぁはぁ。まだまだ、EVAで気圧順応どうしたのか、とか、真空中で銃つかうな、というより潤滑油が蒸発してスライドが動くわけが無い、とか、まだまだ…


さて、今月のジオブリ。都市高速の高架上での銃撃アンドカーチェイス。県警の脱落後に現れた黒い車両はOVAでお馴染みの米海兵隊。OVAの先入観からか、迫力が一気に無くなるような。

となれば、登場するのは”毎朝新聞”のコブラ。登場シーン、凄く良いです。

土壇場でアメリカに介入された入江、残された手駒はそう、神楽総合警備のみ!

…そろそろ、高見ちゃん登場きぼー。

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